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Tips in 徳島

Be-ambitious〔 夢を抱く 〕

未来をつくる
『阿波女』たち

徳島の女性「阿波女」は、
伝統的に働き者で明るく、自立心旺盛という。
そんな阿波女スピリットを胸に社会に貢献する
徳島育ちの女性達を紹介。

俳優

山下リオさん

1992年徳島市生まれ。「三井のリハウス」12代目リハウスガールに選ばれ、以降、モデル、俳優として活躍。連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)では、阿波おどりが得意な徳島出身アイドルを演じ、四国で放送された『四国女子会』(NHK)には徳島代表として出演。鳴門市と南あわじ市を舞台にしたサイクリングムービー『あの空の向こうに』シリーズに主演した。

photo_Jun Fujiwara / text_Tomoko Ogawa

つながりの強さと深いやさしさを感じて

徳島市に生まれ、芸能活動を始めてからも高校卒業までは実家から通っていたという俳優の山下リオさん。上京後も、コロナ禍までは頻繁に帰省していたそうで、地元愛は強い。

自身を“阿波女”だと感じる部分はどんなところだろうか。「怖気づかないところですね。“同じ阿呆なら踊らにゃ損々”というように、人生短いんだから一度やってみないとわからない!何ごとも挑戦して楽しまないと!と思います」

山下さんの母と祖母も生粋の阿波女だ。「母や祖母と話していると、複雑に考えすぎている自分を反省できるんです。わかりやすくやさしい言葉をかけることはしない。でも、言葉以上のやさしさと厳しさを行動で示してくれるんです」一見ぶっきらぼうな態度も、阿波女らしさなのかもしれない。

映画撮影中、共演ののんさんとのオフショット。映画『Ribbon』2022年公開。出演:のん、山下リオ、渡辺大知、小野花梨、春木みさよ、菅原大吉。©「Ribbon」フィルムパートナーズ

株式会社あわわ会長

坂田千代子さん

1959年徳島市生まれ。1983年に徳島の出版社「あわわ」に入社後、同社の成長に貢献。2003年に代表取締役、2012年から現職の会長に。自費出版を手がける「アニバ出版」の代表も兼任している。2018年に徳島経済同友会で初の女性代表幹事に就任した。著書に『阿波おんな元気語録』(ANIVA BOOKS)。

photo_Hirotaka Hashimoto / text_Nobuko Sugawara

管理職の4割が女性。そんな地域を目指す

坂田千代子さんは現在「あわわ」の会長であり、また徳島経済同友会初の女性代表幹事としても注目されている。仕事への情熱は今も衰えることがない。高校卒業後は東京の短大で写真を学び、フォトスタジオでアシスタントをしていた坂田さん。創刊2年目だったタウン誌『あわわ』で編集者を募集していると耳にし、Uターン就職した。

仕事ぶりが認められ、入社3年目に編集長に就任。出産のため一度は退職するが、その後、44歳で社長に抜擢された。坂田さんを節目節目で重要な役職に導いてくれたのは、いつも男性だった。「阿波男は度量が大きい。県外に仕事で出るようになって、そのことを痛感しています」

2018年、徳島経済同友会の代表幹事に女性として初めて就任。坂田さんの役割は、「阿波女」というキーワードとともに、徳島がどれほど女性にとって働きやすい地域かを発信することだ。

「たとえ若くても、シングルマザーでも、出産をあきらめないでいられる。徳島もそうありたいんです。保育園も病院も多いですし、女性が安心して働ける土壌があると伝えていきたい」

J1リーグ徳島ヴォルティスの社外取締役でもある坂田さん。打ち合わせでのひとコマ。

スタイリスト

百々千晴さん

海部郡海陽町宍喰生まれ。2002年に渡英し、2004年より東京をべースにスタイリストとして活動。雑誌、広告を中心にスタイリングを手がけ、ブランドディレクターとしても活躍中。著書に『THE DODO JEAN「ジーンズ3本でスタイルは決まる!」』(ワニブックス)。2020年夏から始めたYouTube『DODOTUBE』で精力的に発信している。

photo_Mina Soma / text_Nobuko Sugawara

働く母の影響と再発見する地元のこと

大人気スタイリストの百々千晴さんは、高知との県境にある海部郡宍喰町(現海陽町宍喰)で生まれ育った。現在は2人の小学生の母親として東京で暮らす百々さん。住民票を移すことなく徳島の学校に通える「デュアルスクール制度」を利用して、夏休み明けの9〜10月は、子どもを海陽町の小学校に通わせている。

2020年5月、自身のブランドをローンチした。その名も〈THE SHISHIKUI〉。自然や人にやさしいものづくりにこだわり、現在は主にサングラスやデニムなど、衣類と小物を扱っている。

友人の藍染めプロデューサー永原レキさんとのコラボレーションなど、徳島印の商品も。

「せっかくだから徳島にまつわるものは取り扱いたいと考えました。徳島が活性化したらいいなと思うし、たくさんの人に徳島のことをもっと知ってもらいたい。ゆくゆくは海の近くにゲストハウスを建ててみたいんです。〈THE SHISHIKUI〉がライフスタイルすべてを包括するようなブランドになればいいですね」

スタイリストになるきっかけをつかんだ場所でもある故郷・宍喰の海にて。

株式会社MY group代表取締役
ミス・ユニバース・ジャパンナショナルディレクター

美馬寛子さん

中学生のときに10万人に一人とされる難病ギラン・バレー症候群を発症したが、克服して走り高跳びで全国大会に7度出場。2008年にミス・ユニバース日本代表となり、世界大会ではTop15、Best of Asiaの成績を収めた。2018年に「MY group」社を設立し、日本人女性初となる「ミス・ユニバース・ジャパン」の運営権を獲得。世界へ羽ばたく人材育成に尽力する。

photo_Kazuya Sasaka / text_Ayaha Yaguchi

元ミス・ユニバース日本代表が次世代に託す想い

美馬寛子さんもまた、3歳から阿波おどりを踊って育った生粋の阿波女だ。2008年世界大会ではTOP15入りを果たし、アジア首位の快挙を成しとげた。

「きっと、ほかの代表たちに負けないくらいの個性を表現できたからだと思います。この部分を鍛えてくれたのは阿波おどりでした。阿波おどりは老若男女が集まって1年かけて練習し、本番に向けて高めていきます。各国のミスたちと力を合わせて大会を作り上げていくミス・ユニバースの世界と、よく似ているんですよ」

ミス・ユニバースは激しい競争社会と思われがちだが、各国の代表たちと得意なものを互いに教え合い、切磋琢磨する日々だったと美馬さんは振り返る。「私はウォーキングやポージングを教わり、反対にスピーチを教えていました。このスピーチ能力も徳島が伸ばしてくれたかもしれません。

ミス・ユニバース・ジャパン2021の候補者を指導・審査している様子。

徳島は地域の絆が強く、阿波おどりのようなお祭りもあるから、私は家族以外の人ともたくさん会話をして育ったんです。自分の考えをしっかり話すのも阿波女の特徴かもしれません」

だからなのだろうか、徳島は女性の起業家が多い。美馬さんも2018年に会社を立ち上げ、ミス・ユニバース・ジャパンのナショナルディレクターを務めている。「目標はもちろん日本代表の世界優勝。そして『女性リーダーをつくること』も私の大切なテーマです。」

音楽家

福岡晃子さん

徳島県出身。徳島で結成されたロックバンド「チャットモンチー」のメンバーとして2002〜18年までバンド活動を行う。東京と徳島を拠点に、作詞作曲家・演奏家として音楽活動をつづけるかたわら、自ら代表を務め運営しているイベントスペース〈OLUYO〉で毎月さまざまなイベントを企画・開催している。2020年から徳島県在住。

photo_NAMAZU / text_Kanako Mori

きらめきを求めて駆け抜けた16年

ロックバンド「チャットモンチー」で歌詞やベースなどを担当していた福岡晃子さんは、「チャットモンチーに出会って人生が変わった」と話す。それは徳島での高校時代。同い年の女の子たちがかっこよく演奏している「チャットモンチー」のライブを見て衝撃を受けたという。その出会いからしばらくして、ヴォーカルの橋本絵莉子さんに誘われ、2002年から福岡さんもメンバーに加入。

メディアに出るときも阿波弁混じりで話す福岡さんにとって、故郷・徳島とは。「大好きな阿波おどりがあるし、幼なじみもたくさんいる町。チャットモンチーと出会った町」

2016年に福岡さんは「東京や徳島で出会った人たちと何かできる場所を」とイベントスペース〈OLUYO〉を徳島市に構えた。徳島県の24市町村をイラストレーターとともに巡り、名所や名産をイラスト化して展示会を開く企画も進行中だ。

〈OLUYO〉では毎月イベントを開催。2019年には那賀町へのツアー企画も実施した。

結婚・出産を経た福岡さんは、現在、徳島県内で暮らしている。2020年5月末に里帰りし、ドライブの途中に立ち寄った海辺で走り回る愛犬を見て移住を決めた。「東京にいた頃は、自分の弱点を隠そうとたくさんの武器を装備して闘っていたんです。でも、いまは丸裸。なんにももっていない。だけど、自分が嫌いじゃなくなった」

いま、時間をかけて心ゆくまで音楽制作をしているという福岡さん。“チャットモンチー(済)”となった第二章を、自分らしく軽やかに歩く。

「FRaU S-TRIP 2021年12月号 サステナブルを学ぶ『徳島』への旅」講談社刊より

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