〔 食べて買う 〕
大自然の恵みから
生まれ味わうモノ
豊かな自然環境や風土が育んだ海の幸・山の幸に感謝!
徳島の新鮮な食材をおいしく味わえる、環境にもやさしいレストランやカフェ。
自然の素材を活用した藍染め、自然の中にぽっかりと現れる未来志向の店舗。
FRaU SDGs特集に掲載されたお店をまとめて紹介します。
カフェ・ポールスター
上勝町民の憩いの場として同町で生まれ育った東輝美さんが営む<カフェ・ポールスター>がある。2013年にオープン。
厨房でテキパキ作業をこなしながらも、地元のお客さんと楽しげに言葉を交わすオーナーの東さん。できるだけ食材をムダにしないよう調理するなど、ゴミを出さないよう徹底している。
町の個性が凝縮したような空間のメニューに並ぶのは、地元の食材にこだわった、オリジナリティあるれるフードとドリンク。ヘルシーな日替わりランチが人気で、阿波尾鶏の団子スープが付いたメニューも。
勝浦郡上勝町大字福原字平間32-1
odori
国道55号線沿い、山間の景色がつづくなかに現れる鶏のマークが目印の〈odori〉。その名の通り徳島県産ブランド地鶏・阿波尾鶏専門店のシェフとして、個性豊かなメニューを提案している。
“美波町の新名物”としておすすめは「ウミガメバーガー」。阿波尾鶏のハンバーグを、ウミガメの甲羅に見立てた特製バンズで挟んだバーガーは、粗くミンチした阿波尾鶏のふくよかな食感が楽しめる逸品。
海部郡美波町山河内なか2-1
カフェ&暮らしのshop櫻茶屋
レンガの壁に囲まれた温かみある空間。一角には「心ときめくものとの出合いを」と、日常に潤いを与えてくれるアイテムが並ぶショップスペースを設けており、日本各地から集めた器やアクセサリー、服が並ぶ。また2階はギャラリーになっている。
カフェで人気の「櫻カレー」(¥1,285)は、ローストした阿波牛と彩り野菜が盛られた食べ応えのあるひと皿。阿波牛の骨を煮こんだスープに、野菜やフルーツ、スパイスで旨みを重ね、約3日間、手間暇かけてつくられている。
徳島市北沖洲3-8-61
MORI NO GOHAN
川沿いの公園の目の前にあるフレンチレストランが〈MORINOGOHAN〉は、森晋次郎さん・直子さん夫妻が東京で修業後、2人の地元、徳島に戻って開業した。
季節の食材を用い、ソースひとつにも手を抜かない料理の数々が、独創的な器の上でまるでアートのような美しさを放つ。目にも舌にもうれしい、小さな幸せが味わえる場所だ。
ランチ¥3,900、ディナー¥5,500のコースのみ。右上写真は「秋刀魚とじゃがいものプレス」、右下は「徳島県産太刀魚のポワレ」。
徳島市南内町1-58-1
PERTORNARE
上勝町の築70年の古民家をリノベーションし、近くの川のせせらぎや木々の葉が擦れる音に包まれながら、静かにゆっくりとイタリアンのコースを堪能できるリストランテ。
地産の食材で作ることが方針で、どのメニューも見た目に美しく、徳島の食材の力を口いっぱいに感じることができる。
前日までの完全予約制で、ランチもディナーもコースでの提供となる。右上の写真は「豚肉のアルフォルノ」。
勝浦郡上勝町福原字平間62
ひわさ屋
道行くダイバーたちの「お昼はひわさ屋さんだね」「早く行かないとなくなっちゃうよ!」という会話から、すでにおいしさが伝わってくる。
地元の旬の食材にこだわった日替わり定食が人気で、おすすめは地魚と地鶏を一度に味わえる「海山ごはん」。とれたての魚のお造りと阿波尾鶏の唐揚げがセットになった大満足のメニュー。
趣のある店構えは旧薩摩家住宅。美波町が町内の歴史的建造物を認定する取り組み「美波遺産」のひとつだ。
海部郡美波町奥河内寺前122
おさかなひぐち
鮮魚店が営む食堂〈おさかなひぐち〉。定番人気の「さしみ定食」のほか、煮つけ、フライ、海鮮丼など、新鮮な魚料理のランチが楽しめる。
なかでも店主イチ押しの「上さしみ定食」は、旬旬の魚をお腹いっぱいいただける一品。もちろん刺身には徳島名産すだちを添えて。また、魚のアラから出汁をとり、鳴門産わかめがたっぷり入った味噌汁も格別だ。食後鮮魚のほか焼き魚や揚げ物も並ぶは併設の鮮魚店で夕食の買い出しやお土産を。
阿南市那賀川町苅屋315-2
阿波牛串焼き ひなた
「阿波牛を気軽に食べてもらいたい」と、徳島県産の黒毛和牛「阿波牛」を串焼きに。阿波牛らしい柔らかい肉質、まろやかな甘み、さっぱりとした後味を、ひと口サイズで堪能できる。
自家製タレや、添えられた柚子胡椒との相性も抜群。「一人でサクッと食べに来る女性も多いんです」。1本から注文できていろいろな種類を楽しめるので、お一人様でも利用しやすい。阿波牛のほか、鶏、豚、野菜も揃う。
カウンター席がある店内。阿波牛の串焼きは1本¥220〜。
徳島市秋田町1-5 北村ビル2F
イタリアンジェラート ドルチェ
地元の牧場から届く牛乳、地産の旬野菜や果実を使い、その日の朝に仕込んだフレッシュなジェラートを提供している。
色とりどりのショーケースには「しぼりたて牛乳」や「むらさきいも」といった定番5種のほか、果汁たっぷりのシャーベット「すだち」や三好市で採れる茶葉を混ぜこんだ「かぶせ茶」など日替わりのフレーバーが5〜15種も揃う。
徳島杉でつくられた空間でイートインでき、窓の向こうはのどかな田園風景が広がっている。
阿波市阿波町大道北190-1
神山ビール
アムステルダムから移住したアイルランド人のスウィーニー・マヌスさんと日本人のあべさやかさんが2018年に開いたクラフトビール醸造所。
ユーモアと手づくり感あふれる店には、アムステルダムの遊び心ある文化が反映されている。
城西高校神山校の生徒が栽培する神山小麦を使った「SHIWASHIWA ALE」(写真左)。小麦の種が70年以上も継がれたことにちなんで、阿波弁で「しわしわいきよ」=ゆっくりいこう、の意味を込めた。
名西郡神山町神領字西上角280-1
RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store
夕暮れどきにはクラフトビール工房で乾杯といこう。7年前、過疎の町ではなかなか商売が成り立たないと「ゴミを出さない暮らしを実現する前に、解決すべきは過疎問題では」と考えをあらためた代表の田中達也さん。アイデアを求めるうち訪れたアメリカ・オレゴン州ポートランドで、クラフトビールの量り売り文化に出会ったという。
現在工房では100%再生可能エネルギーを使用。ビール用の麦も自ら育て始めた。ただおいしいだけではない、上勝産の原料100%のクラフトビールで、地域経済を活性化しようと奮闘している。
勝浦郡上勝町大字正木字平間237-2
Natan葡萄酒醸造所
20代でワインに魅せられ、ソムリエの資格を取得した元ソムリエの井下奈未香さんが大阪の飛鳥ワインで修業し独立。ブドウ栽培から醸造まで一貫して行っている三好の自然とともにある徳島初の地ワインのワイナリー。
なるべく肥料や農薬に頼らず自然任せで育てることが信条。
これまでワイン3種を委託醸造してきたが、2021年8月に念願の自社ワイナリーをオープン。添加物を加えず自然酵母に託すワインづくりは、土地の力に委ねるブドウづくりに通じている。
三好市池田町マチ2187-7
Watanabe’s
良質な藍色を生む「阿波藍」で栄えた歴史をもつ地・徳島で、伝統工芸品ではなく日常になじむものづくりを目指し、藍の栽培、藍染めの原料である蒅づくり、藍建て、染色、製造までを一貫して行うファクトリーブランド〈Watanabe’s〉。
ファッションブランドやシューズメーカーなどと連携したプロダクツ製作も行い、また、県内の織布工場や縫製工場とともに、藍染めした糸から生地をつくり、デニムパンツやジャケットに仕立てるオリジナルプロダクツも進行中。一滴一滴に想いを注いで生み出される〈Watanabe’s〉の力強い藍色は、海外の人びとをも魅了している。
板野郡上板町瀬部314-10
未来コンビニ
徳島県・那賀町木頭地区。高知県との県境にあり、1,000m級の山々に囲まれた自然豊かなこの地区は「四国のチベット」と呼ばれる。ここに「未来コンビニ」ができたのは、2020年4月のこと。子どもがさまざまな経験をし、地域の未来の可能性を信じて成長できる「子どものためのコンビニ」から名付けられた。
デザインも斬新で、支柱は木頭特産の柚子色。遠目には近未来の柚子畑のようだ。内部に目を移すと、すべての棚が低い。子どもやお年寄りが商品を見やすいよう配慮されているのだ。そんな姿が国際的にも評価され、ドイツの「レッド・ドット・デザイン・アワード2021」のリテールデザイン部門では最優秀賞に選ばれた。正真正銘の「世界一美しいコンビニ」なのだ。
「木頭ゆず」加工品など、この地ならではのものにも出合えるとあって、都会からの訪問者が急増中のこのコンビニ、徳島阿波おどり空港から車で2時間半だが、体験しに行く価値は十分ある。
那賀郡那賀町木頭北川いも志屋敷11-1
「FRaU S-TRIP 2021年12月号 サステナブルを学ぶ『徳島』への旅」講談社刊より